2023.02.09
障がいがあることがハンデになるとは限らない。お客様からも同僚からも愛されるドライバーに密着!
障がい者採用にも積極的な日の丸交通。そんななか、いち早くドライバーとして活躍している島村さん。足に障がいを持ちながらも、自分の体と向き合いスマートに乗務をこなしていく彼に独自の仕事術について教えていただきました。
島村
2012年中途入社。負けず嫌いな性格で何事にも努力を惜しまない。
こんなに働きやすくあたたかい職場は他にないと思う。
—日の丸交通に入社した経緯について教えてください。
島村:前職では自動車整備工場で働いていました。私は左足の膝から下が義足なので立ち仕事をしていると足が痛いときがあって、座ってできる仕事を探していたんです。もともと運転するのも好きでしたし、家の近くに日の丸交通の営業所があったことも重なってタクシードライバーを始めてみようと思いました。
—実際にドライバーになってみてどうですか?
島村:普段あまり車を運転していなかったこともあって、入社してすぐに連続で事故を起こしてしまったり、最初は本当に大変でしたよ。でも、営業所の所長が心配して声をかけてくださって、当時の課長や工場の若い方が車の運転を一から教えてくださいました。乗務に出てから時間を決めて営業所に帰ってきて、皆さんに運転を見ていただきながら練習させてもらいました。そのおかげで、現在ドライバーとして仕事ができているのだと思っています。
—事故を起こしたことを責めるのではなく、事故を起こさないためにできることを一緒にやっていくというスタンスなのですね。
島村:そうですね。事故を起こすとどうしても消極的になってしまうので、売り上げが伸びない時期もありました。でも、周囲の方々が本当にあたたかく支えてくださったおかげで、積極的にお客様を乗せられるようになったんです。事故を起こした後、1年間無事故で乗務できたときには、みんなが評価してくれて、嬉しかったですね。
—タクシーの仕事において、義足の影響はあるのでしょうか?
島村:私は13歳から義足なのですが、当時は歩くこともできず車いすで過ごしていました。でも今では、不思議なぐらい自由に歩けるので、基本的には仕事にあまり影響はありません。あるとすれば、サイドブレーキを左足で押すのですが、左足の具合によっては痛いときがあるくらいでしょうか。
—そうなんですね。足の具合が悪いときはどうされているのでしょうか?
島村:足の具合が悪いときは腫れてしまうときもあるので、きっぱりとお休みさせていただいて別の日に出勤しています。一度、無理をして足が腫れてしまったことがあるので、自分でしっかりと体調管理をするようにしています。足が痛いのに無理に乗務して事故を起こすことが一番怖いですからね。
お客様にとっては障がいがあるかないかは関係ない。ただ自分の仕事を評価してくださる。
—周囲の方々からフォローされることもありますか?
島村:いつも助けられています。足の具合が悪いときは周囲の人も分かるみたいで、みんな声をかけてくれるんですよね。声をかけてもらうだけでもすごく助かるんですよ。足が腫れてしまったときには、ドライバー仲間がマッサージをしてくれたこともありました。
—障がいをお持ちの方も働きやすい職場だと思いますか?
島村:障がいもいろいろあるので、正直なところそんなに単純な話じゃないと思っています。例えば、知的障がいの方や内部障がいの方は急に発作が起きる方もいらっしゃるそうです。そういうときに、タクシーの仕事だと現場では一人なので対応しきれないのではないかと思います。今後、いろいろな障がいをお持ちの方を採用していくのであれば、そういう状況に陥ったときのフォロー体制がないと難しいのではないかと。ドライバー仲間だけでなく職員も障がいについて理解していく必要があると思います。
—仕事のやりがいを感じる瞬間はどんなときでしょうか?
島村:丁寧に接客して、ドアサービスやトランクサービスもがんばって、お客様から「島村さんいいね」と名指しで褒められたときですね。お客様からしたら別に足のことなんて分からないんですよ。義足だとかは関係なく、当たり前のこととして一生懸命接客しているので、それが認められるのは嬉しいです。
ドライバーになりたいという強い気持ちがあるかどうかが大事。障がいをお持ちのかたもサポートします。
―今後の目標について教えてください。
島村:とにかく今は現状維持。売り上げに関しては今の額で満足しているので、売り上げを伸ばすことよりは長く勤めることを優先したいですね。あとは今後、同じ営業所に障がいをお持ちの方が来たときに、その方の障がいについて理解したうえで仕事をフォローできるような人でありたいなと思っています。
―最後に、障がいなどが原因でタクシードライバーになることに迷いを持っている方にメッセージをお願いします。
島村:ドライバーになりたいという方々は、おそらく運転はできるのだと思います。ただ、タクシーは乗務に出てしまえば個人の仕事なので、そこを心配されているのではないかと。私も乗務中に足が痛くなってしまうことはあって、自分の判断で義足を外して少し休んで様子を見たりすることがあります。そういう自分の体との付き合い方や体を休ませられるスポットなどは、私からお教えすることができます。あとは自分の気持ち次第。障がいがあっても、気持ちがあれば勤まる仕事だと私は思っています。