語学力を活かした唯一無二のサービス。

―まずは、上原さんのプロフィールをお聞きしてもよろしいでしょうか？

上原：28年前にブラジルから日本にやって来ました。それから銀行や飲食店、工場などで働いていたのですが、日本語を含む多言語を話せる語学力を活かした仕事がしたいと思って、日の丸交通でタクシー乗務員の仕事を始めました。

―何か国語を話せるんですか？

上原：英語、スペイン語、ポルトガル語、日本語です。もっとも、日本語はまだまだ勉強が必要だと思っていますが（笑）

―4か国語も！すごいですね。その語学力を生かして観光タクシーの仕事をしているわけですね。

上原：そうですね。せっかく多言語を話せるんだから観光タクシーをやってみてはどうかと会社から勧められて。入社1年目は覚えることが多くて手一杯でしたが、2年目には落ち着いたので観光タクシーの試験を受けて、合格することができました。

観光タクシーのお客様は一味違う。だから、やりがいがある。

―どのくらいの頻度で観光タクシーの仕事をしているのでしょうか？

上原：時期にもよりますね。例えば、桜の時期は特に多くて月12回の乗務のうち8回は観光タクシーを走らせています。

―観光タクシーの所要時間はどのくらいなのでしょうか？

上原：コースによっても変わってきます。都内を4時間くらいで回るコースもあれば、1日かけて富士山を見にいくことも。お客様のご希望に合わせてコースを組むオーダーメイドプランもありますね。

―お客様は外国の方ですか？

上原：私の場合はほとんど外国のお客様です。どこの国のお客様かによって観光の目当てはさまざまなんですよね。例えば、アメリカの方は自然を好まれる方が多い。だから、やはり富士山は人気ですし、皇居や明治神宮も緑に囲まれているので喜ばれます。外国の方と同じ目線に立って接客できるのは、私の強みだと感じています。

—上原さんの接客ならお客様も安心ですね。普通のタクシーと観光タクシーだとどちらの仕事が好きですか？

上原：もちろん、どちらも大事なお仕事です。ただ、強いていうなら、普通のタクシーに乗るお客様は急いでいる方が多く、あまりコミュニケーションが取れなかったりしますが、観光タクシーのお客様はその日を楽しみにしているからテンションが高くてコミュニケーションも活発です。そういった点では観光タクシーの方が楽しいですね。

案内のスキルを磨いて、目指せ全国。

—確かに、お客様も観光を楽しむために来ているわけですから、自然と楽しくなりますよね。観光タクシーを始めるために、勉強もされたのではないですか？

上原：仕事を始めてからは、東京などのメインスポットのガイドブックを買って読んだりしていました。お客様はどういうものが見たいのか、なぜあのスポットに行きたがるのかなど学べることが多いです。あと私の場合、観光には関係ありませんが、日本の家の広さや平均給与など、色々なデータが乗っている本も読んで勉強しました。観光途中にお客様と世間話をすることもあるので、日本の文化をしっかりと学んでおきたかったんです。

—お客様に観光を楽しんでいただくためのコツはあるのでしょうか？

上原：お客様に合ったご案内をすることです。ご案内する内容は細かく決まっていないので、ある程度、乗務員に任されています。例えば、カップルのお客様は2人でお話をしたいと思いますから簡単な説明をするだけで、なるべく2人の時間を邪魔しないように配慮します。外国の方だと、日本について勉強してきている人とまったく知らない人がいます。すでに勉強してきている人に基本的なことを話しても喜ばれません。逆に日本について知らない人には一から丁寧に説明をします。そんな風に、お客様をしっかりと見て接客することがコツです。

―色々なお客様がいると思いますが、それぞれに合った接客をされているのですね。最後に、今後の目標を教えてください。

上原：私はスノボが好きなので北海道に行ったり、海も好きなので沖縄に行ったり、プライベートで日本全国を回っています。今後は、仕事でも東京だけじゃなく全国で通訳案内をしてみたいですね。今はまだまだ勉強中です。日本語ももっと勉強しないといけませんね。でも、日の丸交通の観光タクシーでスキルを磨いていけば、夢じゃないと思っています。