2022.03.07
百戦錬磨のベテランドライバーに聞きました!タクシーの珍体験談。
タクシードライバーは、日々新しいお客様と出会う。日の丸交通で働く社員にも、さまざまな体験をしたドライバーがいます。面白い体験あり、ドキッとするような体験あり。10年以上の社歴を持つ、川手さんの意外な体験談とは。
川手
2008年中途入社。観光タクシーの免許を持つベテラン。
『池ドン』って、何のことか分かりますか?
—長くタクシーやっていると、いろんなお客様とお話しますよね。
そうですね。タクシードライバーってけっこう特殊だと思うんです。電車やバス、トラックの運転手はお客様個人と話すことはあまりない。でも、タクシーは一種の接客業ですから、話しかけられればお応えしますからね。
—タクシーの接客だと、まずは目的地について聞くところから始まりますよね。「そんな目的地あるの!?」みたいなこともありますか?
レストランやライブハウス、ブティックなどの固有名詞を出されると大変です。お客様からすると有名で知っていて当然なのに、こちらは知らないことはたくさんあります。小さいところだと、カーナビでも出てこない。そんなときは、近くの他の建物を聞いたりしてなんとか探します。ある意味、推理ゲームです(笑)
—大変ですね。例えば、どんな推理が?
「池ドン」って何だか分かりますか?答えは、池袋のドン・キホーテ。そんな言い方があるのか、って普通は思いますよね。でも、その地域独特の言い回しって、結構あるものなんですよ。実際、「池ドン」ってネットで調べれば、ちゃんと出てきます。
タクシードライバーあるある。似たような地名にご用心。
—他にも目的地で困ったことは?
荻窪と言われて向かったら、どうも目的地が見当たらない。改めて確認すると、「おぎくぼじゃなくて、おおくぼです」って言われたり。どうも、私の聞き間違いだったようで。
—それは大変ですね。
似たような地名はたくさんありますからね。地名を伝えられた時は、繰り返し聞き返した方が安全です。
—なるべく、自分の得意な地域をつくっておいた方が良さそうですね。
はい。私は港区を中心にお客様を乗せています。そこから東京駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅あたりまで乗車される方が多くて、そのあたりの道も詳しくなっていく。地域同士の繋がり、道筋が分かってきます。得意な地域が段々と広がっていくわけです。
本当にあるの?ちょっぴり怖い経験。
—たまにニュースで見るような、乗り逃げって本当にあるんですか?
私は経験したことないけど、その不安が一切ないわけではないよね。何事もないけど、ちょっと不安に感じることはありますよ。乗り逃げ未遂みたいなこともありましたし。
—それはどういった出来事だったのでしょうか?
夜、若い人を自宅まで乗せていたのですが「両親が寝ちゃわないうちに着きたい。じゃないとお金を払えない」って言われて。驚きましたよ。無理ない範囲でなるべく急ぎました。なんとか間に合って、お支払いいただけましたが、ひやひやしましたね。
—それは良かったです。とはいえ、夜は何かと大変そうですね。
酔っ払った方が多いですからね。「また奥さんに怒られる」っていうサラリーマンの嘆きに付き合うことも、しばしばです。送迎を頼まれて、お迎えにあがったら、その人が酔って寝ちゃって連絡が繋がらないということもありましたよ。
—車内で寝てしまう人も多そうですね。
多いですよ。目的地についてもなかなか起きてくれなくて。そんなとき、よくやるのが冬場だったら窓を全開にしてクーラーも効かせて、車内を冷やす作戦。人って寒いと目を覚ますものなんですよ。他にもやっている人は結構いると思います。
毎日が新人。それがタクシードライバーの仕事の醍醐味。
—大変なことがあっても、川手さんはこの仕事が好きなんだなというのは伝わってきました。
お金を稼ぎながら、色々なことを知れるのは面白いです。走っていて、ここにこんな施設があるんだとか、お客様と話していて、そんな仕事があるんだととか新しく知ることが多い。時には、有名なタレントさんを乗せて会話することもありますよ。観光タクシーの免許も持っているんですが、それで東京の歴史も学べました。
—いいお客様もたくさんいらっしゃるわけですね。
「速くて助かった」「安全運転だから腰が悪くても安心だった」とか、いろいろ感謝されることも多い。知らないことを、毎日新しいお客様に教えてもらっているという意識が強いですね。若い人にも伝えたいのですが、タクシードライバーは、毎日が新人。それがやりがいでもあり、面白さでもあるんです。